Newリリース 法人税の租税実務のための判断基準

下記Webセミナーの配信がスタートしました。ぜひご利用ください。

法人税の租税実務のための判断基準

講師:税理士 苅米裕

 税務の論点となる判断基準を裁決事例等から読み取り、日ごろの実務に活かそうというのが本講座のコンセプトです。こんな事実があったから、こういう決着になったのだという思考をめぐらせることにより、課税問題に波及させないための「予防線を張る」ことを検討します。租税実務の判断基準を争訟の判断過程から収集し、争いにならないよう事前に対応することを目指します。

☆事例から読み取れる判断基準を実務の参考にする
☆身近な実務上の争点から比較的論点になる事実認定事例を選定、肝心なときに実務に役立つ
☆審査請求の判断のキーとなった事実関係を実務に活かす!
☆裁決書の結果だけで判断してはダメ。こういう事実があり法令に当てはめて検討した結果、このような決着になったという「事実関係」が大事
☆裁決事例の独自の事実関係を認識して、争いにならないよう事前に対応する
☆審判所の認定から実務におけるメッセージを読み取る
☆書籍の最大の特徴、各裁決事例に「事実認定等による考察」を載せていること。実務でこの事件を活かすときの考え方を記している
☆裁決書の概説だけを読んで直面している事案と似ていると判断してはいけない。この事実関係だからこの結果を生んだ。事実が異なることで結果が違ってくる!
☆再建支援事案に係る審判所の判断過程を整理計画等の策定に活かす
☆裁決事例等から読み取れる判断基準を実務の参考にする
☆争いにならないよう事前に対応しておこうというのが本講座のコンセプト
☆身近な税実務の判断基準を追求
☆税務の突き詰めたい答えや判断基準は争訟の判断過程から収集できる

◆収録内容・チャプター

Capter1(24:45)
序章 裁決書の構成と判断構造等
1 国税不服審判所における審査請求手続
 (1)税務調査から審査請求等までの審査請求手続
 (2)審査請求手続のフロー~国税不服審判所HPより:平成28年4月1日以後の処分~
 (3)各執行部の役割等について
2 裁決書の構成について P3∼8
 ・裁判所の判決文も同じような構成
 (1)争点に対する判断の形成
 (2)裁決書の判断構造のイメージ
  ・裁決の結論のみをなぞると、事件の本質を読み違える
  ・こういう事実関係があったから、このような判断になったのだという思考をめぐらせる読み方をすることが大切
 (3)裁決の拘束力(通則法102)

Chapter2(23:29)
3 争点整理(平成29 年10 月31 日公表裁決)P132∼134
 (1)課税要件事実の適合判定  (2)争点  (3)当事者双方の主張
 (4)法令解釈のリサーチ(減価償却資産が「事業の用に供した」とは?)
  ・「事業の用に供した」は法人税法では定義がない
  ・買った側の特別償却制度の適用有無の論点でありながら、なんと販売元の状況によって争点がたてられたという前例がない事例
  ・税務調査で減価償却がターゲットになるときに減価償却費が損金の額に算入されるかどうかの一番の肝は「事業の用に供した」かどうか
 (5)審判所の判断過程
  ・新品だと思って購入した資産が中古!? 展示品であった減価償却資産を買った。当然新品だと思って申告をする。しかし中古品との指摘を受けた。今まで考えてもいなかった販売元の管理等の状況もきちんと整理をしておかなければいけないことが読み取れる

Chapter3(25:07)
第1章 役員給与に関する判断基準
 第1節 役員の範囲 P14∼15
  ・裁決事例〔8〕は全部取消事例。納税者側からみると審判所の課税要件事実の適合判断過程を理解し、その結果処分の取消しに導かれた事例
  ・みなし役員と認定されるのは役員賞与の認定による損金性が問題となる場面では不利だが、過大役員退職給与が問題とされる場面では役員としての在職期間に加算されるので有利に働く

Chapter4(34:33)
 第2節 役員報酬 P51~53
  第1款 過大役員報酬
   ・裁決事例〔13〕は一部取消し
   ・役員給与相当額に同業類似法人の平均額でなく最高額を採用。さらにその最高額は事業年度を超えて採用した。過去になかったこと
   ・地裁において、国側は確実な勝利を得るための新たな主張の切り口と証拠を固めるという訴訟戦略を目の当たりにすることができる事例
  第2款 役員報酬の改定その他
   ・裁決決事例〔15〕は一部取消し。車両の所有権を巡る問題と会社の車を個人使用した場合の使用料の問題に対してメルクマールを与えた事件
   ・車両取得費について旧法人税法34条第4項により役員賞与として処分を受けたが、異なる根拠法により処分が行われていれば棄却されていたかも

Chapter5(12:00)
 第3節 役員退職給与 P92~98
  第1款 同業類似法人の抽出基準の検討 P99~104
  第3款 分掌変更等の場合の退職給与
   ・裁決事例〔18〕は請求棄却
   ・分掌変更の場合に退職金を支給する場合の5つの判断要素。これを検討する。実態を伴っているかどうかがカギ。本当に地位や職務内容が激変しているか
 
Chapter6(40:56)
第2章 減価償却に関する判断基準
 第1節 減価償却資産の定義と事業の用に供した時期 P129∼131
 第2節 減価償却資産の範囲 P141∼145
 第3節 減価償却資産の取得価額 P188
  ・裁決事例〔12〕は請求棄却
  ・複数の建物を取得、その後使用する建物は1つだけ。使わない複数の建物は零円評価とし、その未経過固定資産税相当額を繰延資産として扱った。認められるか
  ・取得価額を構成すべき費用とは何かを再認識させられた事件

  ・裁決事例〔13〕は請求棄却。法人が土地建物を一括購入して各々の資産の価額が区分されていない
  ・土地と建物を一括購入した場合、取得価額をどう分けるのか

Chapter7(17:35)
 第4節 減価償却資産の耐用年数等 P208~212
  ・裁決事例〔14〕は請求棄却。不動産賃貸業を営む法人が中古マンションを取得、その際の建具等の内装工事。建具等を器具備品として耐用年数を選定したが、建物と判断
  ・資本的支出か修繕費かの判断の場面では取得時の判断と異なる視点による思考が必要

Chapter8(33:23)
第3章 寄附金等に関する判断基準
 第1節 寄附金等の範囲 P229~231
  第1款 寄附金と交際費等の範囲の比較 P232
  第2款 交際費課税の趣旨と交際費等の範囲 P236~237
  第3款 福利厚生費と交際費等の区分 P238~243
 第2節 金銭、経済的利益の無償供与 P262
  第2款 子会社等を再建する場合の損失負担等 P271~273
   ・法人税基本通達9-4-1、9-4-2の説明と通達を巡る争訟の昔と今
   ・実務では事前照会、時間がなければ書面添付制度を使う
   ・再建支援事案に係る審判所の判断過程

   ・p276。裁決事例〔8〕は全部取消。審判所が丁寧に通達の適用までのプロセスを明らかにした事例。計画書を作る上での参考資料になる
   ・審判所に納得させるエビデンスの例
   ・法人税基本通達9-4-1を適用する上でこのプロセスなぞることも一つの指針であり、一つの見本ともいえる

Chapter9(19:49)
1 東京地判平成29 年1月19 日・税資267 号-13(順号12962)
 ・法人税基本通達9-4-1の判断基準の例。地裁、高裁で請求棄却。
 ・債権放棄に関する裁判官のチェックポイント3つ提示
 ・メインバンクの意向を考慮せず、グループ内で決めた財務改善計画にすぎないとの判断
2 東京地判平成27 年4月24 日・税資265 号-74(順号12657)
 ・法人税基本通達9-4-2の判断基準の例。原告のDに対する債権放棄に9-4-2の適用があるかどうか
 ・裁判所の判断の柱3つ。イ 損失負担の必要性があったかどうか、ロ 再建計画に合理性があったかどうか、ハ 親会社等の債権管理の状況が適切だったかどうか。それぞれの判断要素の中身

Chapter10(15:24)
 第3節 国外関連者に対する寄附金と認定された裁決事例の考察 P301~302
  ・裁決事例〔11〕は請求棄却。グループ運営での普遍的なテーマ。対価を精算しているかどうか
  ・事例は海外子会社への寄附金認定だが、内国法人間であってもリスクが生じる背景は同じ

公開日: 2021年11月30日 11:03