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6、金融取引移転価格・まとめ

【金融取引移転価格】

2022年6月、国税庁から改定された移転価格事務運営要領が公表されました。その中の主要な変更点として、金融取引、特に「親子ローン」と「親子保証」の移転価格対応に関する部分が注目されています。これまでの多くの事業会社では、親会社が子会社に提供するローンの金利設定や、親会社が子会社のために金融機関からの借入れに保証をする際の保証料の設定について、十分な根拠や計算がされていなかったことが問題とされていました。

新しい要領では、親子ローンの金利設定において、海外子会社の信用力を考慮し、その上で客観的な市場金利を参照して金利を設定することが求められます。また、親子保証においては、子会社の信用格付けを基にして、適切な保証料率を計算し、その保証料を回収することが強調されています。

この改正は2022年7月1日からの新しい事業年度に適用されるため、事業会社はこの新しい要領に従った金利や保証料の設定を迅速に行う必要があるとされています。簡潔に言えば、新しい移転価格事務運営要領に従って、事業会社は金融取引の金利や保証料を厳格に計算・設定しなければならなくなりました。

 

【事例】親会社から子会社への3億円の融資のケース

当初の金利は1%でしたが、調査官が行う移転価格の調査で、海外子会社の信用力に基づく金利が4%と計算された場合、過去の金利との差によって追徴課税の対象となります。このケースでは3年間の差額で2700万円が追徴課税される可能性がある。さらに、日本側での課税後、海外の税務当局は追加の利息の支払いや課税の減少を受け入れないため、二重課税のリスクが生じる。これを避けるためには、海外子会社の信用評価に基づいた適切な金利を適用し、ベンチマーク分析で算定することが求められます。

 

【まとめ】

移転価格税制対応は大企業だけでなく、中堅・中小企業でも必要とされており、金融取引や親子ローン、保証など、本業以外の部分でも適切な対応が必要です。最近の税務調査では厳しい指摘が増えており、事前の対応がより重要となっています。移転価格税制の基本的な内容と最新の改正への理解を深め、今後海外進出を考える企業は十分な対応が必要です。

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